3月11日が近づくにつれて
たくさんの思いが込み上げます。
まだ、たった一年。
もう、一年。
人の数だけ、それぞれの思いがあると思います。
私も家族との別れがあって
色々な思いを抱えてきた一年でした。
自分自身でコントロールのできない
心の動きを理解できたら・・と
心の内を理解しようとした時に
アルフォンス・デーケン氏の悲嘆のプロセス
というものに出逢いました。
悲嘆のプロセスを知って、
今自分はこういう状態なのだな。と
自分の心を理解しながら、
きっと大丈夫。と
自分自身を励ますことができた一年です。
悲嘆のプロセスでは
大切な人と別れてしまった時におこる
心と体の動きをきちんと紐解いて下さっているので
本人だけではなくて、周りの方も知っていると、
それぞれが思いやれて
少し楽に過ごしやすくなると思います。
お店のブログに書くのはどうしよう・・と
ずっと思いながらきてしまったけれど
私自身もとても心の整理がついて
助けられたものなので、
ひとつの知識として
今、直面していない方にとっても
きっと、皆が知っていた方が
いいことかな。 と思います。
長くなりますが、よろしければ・・
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「悲嘆のプロセス」は、
アルフォンス・デーゲン氏によって、
大切な人を失ってからの時間の流れと共に
12段階に分析されています。
(以下、参考文献:
「よく生き、よく笑い、よく死と出会う」
アルフォンス・デーゲン 新潮社)
当然経験する人のすべてが、
これらの12段階を通過する訳ではありません。
また、必ずしもここに挙げた順序通りに
悲しみが進行するとも限りません。
時には複数の段階が重なり合って現れたり、
ひとつの段階にしばらく止まっていることもあると
覚えておいてください。
また、一時的に前の段階に戻ってしまうこともあります。
また、たとえ後戻りしても最初の段階に戻ることはありません。
1.精神的打撃と麻痺状態
愛する人の死という衝撃によって、
一時的に現実感覚が麻痺状態に陥ります。
頭が真空になったようで、
思考力がグッと落ち込みます。
この状態は心理学で言う
一種の防衛規制と考えられます。
心身のショックを和らげる、
生体の本能的な機能と考えられています。
2.否認
死という事実を
認めようとしない精神状態で、
感情だけでなく、理性も死という事実を
認めようとしません。
「あの人が死ぬ訳がない、
きっと何かの間違いだ」という心理状態です。
3.パニック
身近な人の死に直面した恐怖から、
極度のパニック状態に陥ります。
悲嘆のプロセスの初期に顕著な現象です。
なるべく早く抜け出すことが望ましく、
またこれを未然に防ぐことは、
悲嘆教育の大切な目標のひとつと言えるでしょう。
4.怒りと不当感
ショックがやや収まってくると
「なぜ私だけが、こんな目に…」という、
不当な仕打ちを受けたという感情が沸き上がります。
亡くなられた方が、長期間闘病を続けた場合など、
ある程度心の準備ができる場合もありますが、
急病や災害、事故、自死などのような突然死の後では、
強い怒りが爆発的に吹き出します。
故人に対しても、
また自分にひどい仕打ちを与えた運命や神、
あるいは加害者、そして自分自身に対する
強い怒りを感じることもあります。
5.敵意とうらみ(ルサンチマン)
周囲の人々や故人に対して、
敵意という形でやり場のない感情をぶつけます。
遺された人のどうしようもない感情の対象として、
犠牲者を必要としている場合が多く、
また病死の場合は敵意の矛先を
最後まで故人の側にいた医療関係者に
向けられるケースが圧倒的です。
日常的に患者の死を扱う病院側と、
かけがえのない肉親の死に動転している遺族側との間に、
感情の行き違いが起こる場合が多いからです。
6.罪意識
悲嘆の行為を代表する反応です。
「こんなことになるなら、生きているうちに
もっとあれこれしてあげればよかった」という心境です。
過去の行いを悔やんで自分を責めることになります。
7.空想形成、幻想
空想の中で
故人がまだ生きていると思いこみ、
実生活でもそのように振る舞います。
亡くなった子供(家族)の部屋を
どうしても片付けられず、
何年もそのままにしているという例は
あちこちで聴きます。
いつ子供(家族)が帰ってきてもいいように、
毎晩ベッドの上に
パジャマまでそろえておくという話もあります。
8.孤独感と憂鬱
葬儀などが一段落し、
周囲が落ち着いてくると、
紛らわしようのない寂しさが襲ってきます。
健全な悲嘆のプロセスの一部ですが、
早く乗り越えようとする努力と周囲の援助が大切です。
9.精神的混乱と無関心(アパシー)
日々の生活目標を見失った空虚さから、
どうしたらいいか分からなくなり、
あらゆることに関心を失います。
10.あきらめ--受容
「あきらめる」という言葉には
「明らかにする」というニュアンスが含まれています。
自分の置かれた状況を
「あきらか」に見つめて受け入れ、
つらい現実に勇気をもって
直面しようとする努力が始まります。
11.新しい希望--ユーモアと笑いの再発見
悲嘆のプロセスを彷徨っている間は、
この苦しみが永遠に続くような
思いに落ち込むものですが、
いつかは必ず、希望の光が射し込んできます。
こわばっていた顔にも少しずつ微笑みが戻り、
ユーモアのセンスも蘇ってきます。
ユーモアと笑いは健康的な生活に欠かせない要素です。
そして、その復活は悲嘆のプロセスをうまく乗り切った
しるしとも言えるでしょう。
12.立ち直りの段階--新しいアイデンティティの誕生
そして、立ち直りの段階を迎えます。
しかし、愛する人を失う以前の
自分に戻ることはありません。
苦悩に満ちた悲嘆のプロセスを経て、
新しいアイデンティティを獲得し、
より成熟した人格者として
生まれ変わることが出来るのです。
それは「いつか元気になれる日がくる」
ということです。
しかし、その日が来るまでには
長い時間が掛かり、
多くの忍耐が必要です。
悲しみの症状や強さは人によって異なります。
なぜなら、誰一人同じ人間はいないわけですから、
悲しみ方もひとり一人
違うのは当然です。
でも、努力さえすれば
皆が同じ所へ到達できます。
それを乗り越えたとき、
以前とは違った自分、
より成長し多くの知恵を身につけた
新しい自分に
生まれ変わることができるでしょう。